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これからののすまいづくりの流れ
「200年住宅」普及へ 長期優良住宅の動きが本格化します。「200年住宅」の普及を促進することを目的に、その認定制度を創設する「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」(長期優良住宅法案)の概要をお伝えします。
- 住宅の長期寿命化を実現する
- 「200年住宅」とは、長期にわたって良好な状態で循環利用できる質の高い住宅のことで、昨年5月に自民党の住宅土地調査会がまとめた提言「200年住宅ビジョン」で打ち出されたものです。住宅のロングライフ化を象徴的に表すものとして「200年」という言葉が使われています。
同調査会はこの提言の中で、「つくっては壊す」というフロー消費型の社会から「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」というストック型社会への転換が急務であるというビジョンを打ち出し、長期にわたり使われる質の高い住宅(200年住宅)は不可欠であるとしました。
この促進を実現するため、政府は2008年2月26日、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」(長期優良住宅法案)を閣議決定、国会へ提出しました。国会での審議後、交付より6ヶ月以内に施行され、今年度中に法案をもとにした長期優良住宅が具体化する見通しです。 - 「長期優良住宅法案」とは
- 長期優良住宅法案は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が構造や設備について講じられた優良な住宅を「長期優良住宅」とし、その普及を促進することを目的としています。長期優良住宅の認定要件としては、表1のような内容が規定される見込みで、詳細は今後省令で定められることになります。品確法で定められている住宅性能表示制度の評価項目と共通するものが多く、今後業界全体で性能表示への対応が進むことも予想されます。
法案は、普及促進のための施策として「長期優良住宅建築等計画」の認定制度を創設するとしており、認定住宅に対する税制面の優遇措置や、長期住宅ローンの供給支援などのメリットを付与するとしています。また、定期点検や補修内容などを記録した「住宅履歴書」を作成・保存する制度や、認定住宅の性能評価制度により、良好な住宅ストックの形成や中古住宅の流通促進につなげるとしています。
表1 長期優良住宅の認定要件案
- ◎構造躯体の耐久性
- 数世代にわたり住宅の構造躯体がしようできること。
- ◎構造躯体の耐震性
- 大規模な地震の後、構造躯体の必要な補修によって使用を継続できること。
- ◎内装・設備の維持管理の容易性
- 維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置。
- ◎変化に対応できる空間の確保
- 間取りの変更が可能な措置。
- ◎長期利用で対応しておくべき性能
- 必要な断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること。将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下などに必要なスペースが確保されていること。
- ◎住環境への配慮
- 住環境に関する地方公共団体が行う各種の規制・誘導措置に沿って良好な住環境が確保されること。
- ◎計画的な維持管理
- 定期的な点検・補修などに関する計画が策定され、点検などの履歴が蓄積されていること。
- 地域密着の家づくりが見直される
- 長期にわたって使用可能な家作りを促進するという方針を明示した今回の法案は、地域密着の家づくりが再度見直される契機になると考えられます。住宅産業は本来「地場産業」であり、「建てたら終わり」ではなく、引渡し後も地域に密着した工務店が必要なメンテナンスをしっかりと行い、施主との顔の見える関係のなかで住宅を維持してきました。長期にわたって住宅を維持していくために「地域のホームドクター」として住宅の維持管理に努める地場工務店の役割が大きくなると考えられます。
また、部材や設備が多岐におよぶ住宅では、長期にわたって維持していくために、水道や電気などの関連業者の協力が欠かせません。地域の関連業者と連携し「連合軍」となって、地域の住まいをより良いものにしていく取り組みが求められることになります。
さらに、長期間住宅を使うためには、耐久性や耐震性といった「性能」はもちろんですが、使われる部材や素材にも、世代を越えて使用に耐えられるだけの「本物の味」や「質感」が求められることになります。長期優良住宅法案の施行により、住宅の「性能」については「長期優良住宅の認定要件」として一定の基準が作られ、業界全体で「横並び」の状況となる事が考えられます。そのうえで地域の風土に根ざした「特長ある家づくり」が生かせると思います。 - 長期優良住宅の認定制度
- 長期優良住宅の建設に当たっては、まず認定の条件を満たす住宅の建築と、その維持保全のための計画を盛り込んだ「長期優良住宅建築等計画」を作成し、所管行政庁(建築主事がいる地方自治体の市町村長または都道府県知事)に申請、認定を受けて建築できることになります。ポイントとなるのは、住宅そのものではなく、住宅の建築と維持保全、資金計画などの具体的な計画をまとめた「長期優良住宅建築等計画」が認定の対象となっていることです。
「長期優良住宅建築等計画」の認定基準としては、(1)構造・設備が「長期仕様構造等」であること、(2)維持保全の方法が省令で定める誘導基準に適合すること、(3)維持保全の期間が30年以上であること、(4)資金計画が適切であることとされています。
「長期優良住宅建築等計画」の認定を受けると、登録免許税や不動産取得税、固定資産税について、税負担額を一般住宅の負担額以下に抑制する税制優遇(表2)が受けられるほか、償還期間50年の超長期住宅ローンの供給支援なども法案に盛り込まれています。
表2 長期優良住宅の税制優遇措置
登録免許税
軽減措置について、すでに適用されている一般住宅特例より引き下げる。- 所有権保存登記
一般住宅特例 : 0.15%
長期優良住宅特例 : 0.1%
(0.05%引き下げ) - 所有権移転登記
一般住宅特例 : 0.3%
長期優良住宅特例 : 0.1%
(0.2%引き下げ)
不動産取得税
課税標準からの控除額を、一般住宅特例より拡大する。一般住宅特例:1200万円控除
長期優良住宅特例:1300万円控除
(100万円拡大)
長期優良住宅特例:1300万円控除
(100万円拡大)
固定資産税
新築住宅にかかわる減額特例の適用期間を一般住宅特例より長期化する。- 一戸建て住宅
一般住宅特例:3年間2分の1 長期優良住宅特例:5年間2分の1 - マンション
一般住宅特例:5年間2分の1 長期優良住宅特例:7年間2分の1
*1戸当たり120m2相当分までに限る。